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コンフェイト*コンチェルト(EXH)と結婚したい


1. はじめに

 新年あけましておめでとうございます、牛乳です。年末年始はみなさんいかがお過ごしでしょうか?(僕は家でメソメソしながら卒業論文を執筆しています)

年末といえば12/30にひなビタSSPPがありましたね。この記事を読まれてる方の中には「SSPP行ってきたよ!」「しんぞぞがまっくすきゃっほいでした…」「あっ!!?ここなちゃん!!?!?!??!?ここなちゃん?????????????????ここなぁ~~~~~~~~~~!!!!!!!!ここなああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」となった人も多いのではないでしょうか。ライブではひなビタとここなつの新曲が多数発表されたようで、僕はライブに行けなかった関係でまだ新曲を聴けていないのですが、今からとても楽しみです…(革命パッショネイトのジャケットのまり花ちゃんすき…………)

 その中でもここなつの新曲はU-skeさんが手がけられたということで個人的にテンションがまっくすきゃっほいです。U-skeさんと言えばここなつの「コンフェイト*コンチェルト」を担当なさったことで知られており、ボルテでは他にも「ギャラクシィ・トラベラー」「プラネタジャーニー」等で有名ですね。(ギャラクシィ・トラベラーの譜面はめちゃくちゃ面白いので機会があればまたご紹介します)

 コンフェイト*コンチェルトはここなつ曲の中でも特にお気に入りだったため、新曲の報を受けて2018年のボルテはこの曲で締めました。ジャケットがとても可愛い。

 実はこの曲、前作の時点でPUC済みだったので今回久しぶりにプレーしたのですが、

「え、譜面良すぎる……(鳥肌が立ってPUCを逃す)(1敗)」

 1敗したのがただの地力不足なのはさておきプレー中に鳥肌が立ったのは事実で、「ボルテ譜面これがすきで賞」の大賞作品に見事ノミネートです。あまりに譜面が良かったのでいてもたってもいられなくなってしまい、こうして元日から本記事を書いています。ということで以下ではコンフェイト*コンチェルト(EXH)の譜面の好きなポイントについて、その歌詞と譜面の一体感という観点から頑張ってまとめました。

 一点だけお願いがございます。僕が譜面の考察でめちゃくちゃ適当なことを言っている可能性は十二分にあるので、そんな時は「へえ〜takumiwishオモシロ笑」くらいの軽い気持ちで読み飛ばしていただけると幸いです。(実際、今読み返すとめっちゃ恥ずかしいので……)

 では早速本題に入りましょう。いつものように、譜面画像はSDVX譜面保管所様、動画はLIRINSKY様のものを使用しております。また、歌詞についてはRemyWiki様のゲームサイズ版を参考にしました。

 

2. コンフェイト*コンチェルトのステータス

アーティスト: ここなつ Produced by U-ske

BPM: 142

レベル: 14 (ボルテⅢでは13)

イラスト: 仁熊

譜面製作者: ひとくちピエロ

「現実はさておき、好きな人が好きになってくれる夢を見るだけでなんとなく無敵だったりして、恋をする女の子はみんな甘くってキラキラ。まるでコンペイトウのようです。」(採用者コメントより)

 コンフェイト(confeito)とはポルトガルの砂糖菓子のことで、日本ではコンペイトウとして馴染みが深いですね。曲名のアスタリスクもこれがモチーフになっているのでしょうか。ぼくもコンペイトウになってここなつの二人に愛されたいです。

 

3. コンフェイト*コンチェルト(EXH)

 それでは順に参りましょう。やや長いですが最後までお付き合いいただけると幸いです。

<イントロ(1~9小節)>

 「twinkle love twinkle love」という歌い出しから始まるイントロですね。FXチップで四つ打ちさせながらBTでボーカルを拾うシンプルな混合フレーズで、これから繰り広げられるここなつの歌に胸を膨らませてドキドキするような構成となっています。開幕の赤つまみのビットクラッシャーエフェクトや要所にある24分階段がとても心地良いですね。

<Aメロ(10~17小節)>

 結婚ポイントその1です(早くね?)。「誰か知りませんか!? 」と歌い始める夏陽に呼応するかのように、夏陽のテーマカラーである赤色のつまみがレーンの中を彷徨い始めます。「カラダの真ん中 痛くって」の歌詞がくる12小節では赤つまみが歌詞通り真ん中に来ることで、夏陽の恋心を的確に表現しているように見えます(恋心で痛そうにしている夏陽を想像すると自然と雫が頬を伝ってきます)。それと対比する形で14小節以降は心菜のボーカルに合わせて青つまみが動くのが印象的です。この曲中では基本的に夏陽のソロボーカル時は赤つまみ、心菜のときは青つまみ単独の操作が入っており、これによって演奏感が引き出されているのが最高……

 鍵盤の配置もとても丁寧です。「真ん中」の歌詞の鍵盤がFXチップになっていてBTとのコントラストが際立っている点や、13小節終わりの「ぴこ♪ぴこ♪」という音に合わせてFXロングとFXチップが配置されているのが演奏感マシマシでお気に入りです。夏陽パートと心菜パートで鍵盤の配置も微妙に変えており、譜面の統一感を出しながらもボーカルに合わせた飽きない配置を実現していているのが本当に凄いと思います。

<Bメロ(18~27小節)>

 このフレーズで最も求婚しちゃうのは18小節からの「揺れて落ちて」の歌詞に呼応するつまみです。2色のつまみをゆっくりとうねうねさせながらレーンを揺らすことで、歌詞を忠実に表現しながら、譜面構成それ自体もサビへの溜めを作り出しており、エフェクターであるひとくちピエロの愛を感じるとともにぼくもひとくちピエロへの愛が止まりません。後に解説しますが、この2本のうねうねつまみが完全には重なっていない点も非常に示唆的だと感じました。24小節のロング地帯も譜面にメリハリが出ていてとても好きです。

<1サビ(28~43小節)>

 この地帯だけで何回求婚したかわかりません。最高以外の言葉がないです。

 真面目に解説すると、サビはここなつ2人のボーカルを際立たせるかのようにダブルレーザーが特徴的であり、特に前半のフレーズにおいては赤つまみが左側、青つまみが右側にある状態で操作をすることになるので明確な難所となっています。なんとなくイメージしづらい方がいましたら、snow storm -euphoria-(EXH)のラスサビのダブルレーザー処理を思い出していただければ分かりやすいかと思います。36小節以降の認識難の恋人つまみでは赤青の位置関係が親切になっていることを踏まえると、ひとくちピエロは恐らく分かっててこういう配置にしたのだと考えられます。

 さてこの1サビ、36小節以降のつまみの形に目がいってしまいがちですが28小節の方もめちゃくちゃ凄い気がします。何より「赤つまみと青つまみが引き離されて配置されている」ことは、譜面難易度を上げることだけでなく曲の解釈的な意味でもとても天才的だと勝手に思っています。詳しくは大サビを解説するときにお話ししたいと思います。

 もちろん、36小節の恋人つまみも最高です。今までのスッキリしたつまみ配置から一転、複雑に絡み合った両つまみ処理が行われているのは「ほら 手と手伸ばす コイビトつなぎ」という歌詞をキッチリと反映している証左でしょう。特に、37小節と41小節の最後の直角つまみでレーザーを終わらせずに、ひとつに重なったダブルレーザーをレーンの中央に残すという表現は、ギュッと手と手を握りしめたここなつの恋人つなぎの様子が想起され、これには思わず菩薩のような澄んだ心持ちでアルカイックスマイルを浮かべてしまいますね。えっちやねなどという煩悩は捨て去りましょう。

<間奏(44~53小節)>

 ここ本当に天才だと思います。一見シンプルな配置ですが、これによって曲の良さがギュッと引き立てられているように感じます。まず曲の音階が譜面に丁寧に反映されていることが挙げられますが、その中でも特に短いBTロングの使い方が本当に上手いです。曲中の伸びる音に対して短いロングが効果的に配置されることによって演奏感5000%です。結婚です。

 また規則的に配置されているFXチップはエレクトリックピアノの和音始めに合わせて置かれており、和音の気持ち良さが視覚的にも物理的にも自然に表現されています。

 こうした良さが一番表れていると個人的に感じたのは48小節でしょうか。ここ本当に気持ち良いです。このような細かい配慮の積み重ねが、プレーしていて楽しいと感じる鍵盤づくりなのかもしれませんね。

<落ちサビ(54~61小節)>

 ここでウルっときた人も少なからずいるのではないでしょうか。ぼくは涙で霞んで譜面がよく見えませんでした。「そっとバレないように気づかないように 追いかけた視線伏せて きっとここからまた踏み出すのには 少し足りないなぁ」とあるこの歌詞には、好きな人への想いが溢れ出しそうになるけれどもどうしてもあと一歩踏み出す勇気が足りない、そんなここなつの恋心が描かれているように見えます。このもどかしい想いは譜面上でも巧妙に表現されていると感じました。直線で放置されている一方のつまみへ「そっとバレないように気づかないように」近づくもうひとつのつまみ。2色のつまみが重なるまであと一歩……!しかし次の瞬間、せっかく寄せたはずのつまみは離れていってしまいます。

「頑張れなっちゃん…………!!頑張れここなちゃん…………!!」

 気がつけば楽曲の世界観に没入し、大粒の涙をこぼしながらふたりを応援する自分がいることでしょう。

 さて、鋭い方は曲と譜面とを比べてお気づきになったかもしれませんが、実はこのパート、歌っているキャラのイメージカラーと実際に動かしているつまみの色が逆なんです。54小節からのワンフレーズは夏陽が歌っていますが、青色のつまみが動いていますよね。この点を巡って既に「ひとくちピエロ天邪鬼説」や「ボーカルのパンの振り方(立ち位置)を反映している」等の議論がなされています(ソース)

 この点についてはひとくちピエロ本人に訊いてみないことにはその真意は分からないですが、僭越ながら僕自身で考えたことをまとめておきます。

 54小節から57小節までのワンフレーズは「そっとバレないように気づかないように 追いかけた視線伏せて」と夏陽が歌うパートとなっています。ここでこの状況をイメージしてみてください。「追いかけた視線」と夏陽が歌っているように、視線を動かしているのは夏陽ですから、物理的に身体が移動しているのは心菜だと考えられます。実際に54小節から57小節で動いているのは青つまみ、つまり心菜です。すなわちこのワンフレーズのつまみは「ボーカルの色合わせではなく、歌詞の実際の状況を想定した上で、夏陽の固定一人称視点から動く心菜を追いかけている」という表現を盛り込んだのだと解釈しました。これほど解釈の多様性に富んだ譜面を作るひとくちピエロ、来年あたり芥川賞を受賞していてもおかしくない気がします。

<大サビ(62~71小節)>

 大晦日にプレーした時は、ここで鳥肌のあまり震えてニアが出ました。

 一般に、1サビと大サビの譜面構成は近いものにしたうえで細かい配置を変えると全体を通して譜面のまとまりが出やすく、プレーヤーが楽しいと感じることが多くなると思います。この曲もそれを踏まえており、ダブルレーザーの中に折り返しつまみの片手処理が1サビと同様に組み込まれていることが分かります。

 1サビと異なった印象を最も与える要素であり、かつ歌詞の世界観を最も引き出している(と勝手に感じている)大サビの要素が、両つまみの位置です。1サビの片手処理のパートと見比べると明らかですが、大サビでは2つのつまみが中央でひとつになっている状態を基礎にして譜面が展開されています。歌詞を見ると「ほら アタマからね ツメの先まで ひとまとめ全部 愛して! そんな夢を見たら なにはなくても 叶いそうで 届きそうで うまくいきそうだよ! 今日の気分」とあります。ここなつの二人の幸せそうな気持ちがめちゃくちゃ伝わってきますよね。僕もなんだかよく分からないけどとても幸せな気持ちになります。この時点で既にダブルレーザーが中央に来ている理由になんとなく気づいた人もいらっしゃるかもしれませんが、焦らずにここは一度、歌詞の世界観を通しで見てみましょう。もし間違ってたら「大学生の国語力も落ちぶれたなあ」と笑ってください。コンフェイト*コンチェルトはロング版がシンクロノーツに収録されているので、その歌詞も併せて読むと良いかもしれません。

 Aメロでは自分の恋心に気づくここなつが描かれています。1サビでキラキラした恋に胸を弾ませたのもつかの間、夢オチであることを知り悲しい気持ちに(ここなつの悲しい顔を見ると僕も悲しいです)。その後の落ちサビで現実の恋のもどかしい気持ちが描かれているという話は先述した通りです。そして大サビでここなつは二度目の夢オチを迎えます。しかし「そんな夢を見たら なにはなくても 叶いそうで 届きそうで うまくいきそうだよ! 今日の気分」とあるように、大サビではここなつがとても幸せに、とても前向きに恋と向き合っていることが伝わってきますよね。最高…………

 このように、コンフェイト*コンチェルトでは大サビとそれ以前とでここなつの内面に大きな違いがあると考えられます。その差を譜面上で表現しているのがこの「つまみの重なり」という要素なのです。前に、Bメロの揺れて落ちてつまみでは2つのつまみが完全には重なっていないのが示唆的だと言ったり、1サビで赤つまみと青つまみが引き離されて配置されているのが天才だと言ったりしました。これらの要素は全て「つまみをひとつに重ねることで、ここなつの内面に変化があったことを際立たせる」という大サビの譜面展開をサポートする役割を担っていたのだと考えられるのです。加えて、1サビの恋人つまみで指摘したように、つまみがひとつに重なっている状態は仲の睦まじさといった恋人同士の明るいイメージをどこか彷彿とさせる気がします。

 まとめると、大サビのつまみ構成はそこの至るまでのつまみ構成と明確な対比がなされており、それが楽曲の世界観の展開と密接に関わり合って圧倒的な演奏感を生み出しているんじゃないかという僕の考察でした。

<アウトロ(72~80小節)>

 アウトロは大サビの盛り上がりを極端に変えることなく、イントロの構成との共通点を持たせながら徐々に曲の終わりへとフェードアウトさせていく過程が譜面中に描かれていると言えます。イントロでは四つ打ちのFXチップだったのがアウトロではボーカル合わせのFXロングになっている点が上手いですよね。ちなみにPUCを狙う時は80小節の24分で緊張して全て台無しにしてしまうことが多いので頑張りましょう。

 

4. おわりに

 低難易度の譜面で楽曲の世界観を表現するのは難しいと僕は思っています。配置や音どりの制約が多いと、どうしても表現の技法に限界があるからです。そんな中でコンフェイト*コンチェルト(EXH)はその素晴らしい楽曲の世界観を譜面という形に上手く落とし込んだ天才的な作品だと思います。ひとくちピエロさんの大ファンになってしまったので、今ならAmazonのウィッシュリスト貼られたら何でもプレゼントしちゃいそうな気がします。素晴らしい譜面をありがとうございました。今回は譜面にずっと焦点をあてて記事を書き進めてきましたが、譜面というものは音楽ゲームの要素である以上、楽曲やジャケットあるいはゲームシステムがなければ成立しません。そんな中でコンフェイト*コンチェルトという素晴らしい作品を世に出してくれたU-skeさんや仁熊さん、そしてここなつとボルテスタッフにも感謝の念が尽きません。ここなつの新曲、めちゃくちゃ楽しみです。

 長くなりましたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。Twitterとかで記事の感想を呟いてくださると幸せな気持ちで三が日を過ごせそうです。


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