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東大大学院で理転する話その4~専門科目編~


 牛乳です。大学院理転シリーズ4記事目になります。今回は専門科目編です。電子情報学専攻は数学や英語よりも専門の比重が大きいと言われています。しかも具体的な比重は謎に包まれており、数:専=1:2との噂もあれば1:5との噂もあります。従って院試勉強においても専門科目の勉強はかなり力を入れて取り組みました。

 

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4. 専門科目編←いまここ

 

全体的な対策の方針

 正直限られた時間で独学で全ての専門科目を網羅するのはかなり厳しいだろうと踏んでいました。幸いにも電子情報の専門は5問中3問を解けば良いので、とりあえず過去7~8年分の専門科目の出題傾向は全て調べて、その上でどの問題セットが出ても3問解けるようになるよう優先順位を分野ごとにつけて勉強しました。因みに僕は

・最優先:アーキテクチャ、アルゴリズム、情報理論、フーリエ変換

・優先:離散信号処理、論理回路

・余裕があれば:電気電子回路

・諦める:情報通信

という順位づけをしました。電気電子回路は毎年出題されている以上ちゃんとやりたかったのですが、どうしても思うように問題演習が捗らなかったのと、この分野で内部生と同じくらい点数を取るイメージがつかなかったので、試験3週間くらい前に切ることを決めました。まあまあ怖かったです。

 専門科目を勉強するにあたって、内部生(eeic)のカリキュラムはめっちゃ調べました。「試験の出題分野が内部生のどの授業と対応してるんだろう?」という調査をして、履修できそうな科目はなるべく履修し、そうでない科目は知人を経由して授業プリントや期末試験の過去問・解答を集めて院試直前期に何度も解きました。独学だとどうしても色んな問題に触れる機会が少ないので、院試の過去問だけでなく学科の期末試験問題もちゃんと解いておいた方が良いと思ったからです。こういう情報をすぐ入手できた点で、僕は学習環境には非常に恵まれていたと思います(色んな情報を教えて下さった方には本当にお世話になりました)。

 以下に使用した教科書を述べますが、教科書を選ぶにあたって東大院試ラボを参考にしたり、都内の本屋で実際に読み比べしてみて自分に合ったものを選んだりしました。ブックファースト新宿店にはめちゃくちゃお世話になりました。品揃えと雰囲気がすき……

 

教科書

電気電子回路:世界一わかりやすい電気・電子回路(KS理工学専門書)

 非常に分かりやすかったです。問題演習の段階で切ることを決めましたが、問題演習にはやや役不足感があるのでそこは過去問なり他のテキストでカバーした方が良いと思います。

論理回路:論理回路入門(培風館)

 これが非常に分かりやすく、問題量も充実していて良かったです。7章くらいまでちゃんと出来るようになるとGoodです(回路規模が大きな回路図を描くのがめちゃ大変です)

コンピューターアーキテクチャ:コンピュータアーキテクチャ(コロナ社)

 院試に一番即した参考書だったと思います。元々パターソン&ヘネシーの参考書も持っていたのですが、論述問題対策やパイプライン処理の問題演習まで考えるとこれを買って良かったと思っています。ただ今年の院試は教科書にも詳しく載ってない問題が出されてキレそうになりました。(実際の試験中は半泣きでした)

アルゴリズム:プログラミングコンテスト攻略のためのアルゴリズムとデータ構造(マイナビ出版)

通称螺旋本。院試ラボなどでは他の参考書が紹介されていましたが、こちらは擬似コードとアルゴリズムの解説が分かりやすく、計算量などの必要な情報もちゃんと記載されているので重宝しました。院試に向けてひたすら主要な擬似コードを書く練習をしていましたが、本番では中々かゆいところをピンポイントで突かれて爆死。もしかしたら他の参考書の方が良かったかもしれません。僕の勉強のやり方がガサツだっただけかもしれません。分かりやすい参考書なのは間違いないです!

信号処理全般:やる夫で学ぶディジタル信号処理

 分かりやすい・無料・面白いと三拍子揃った神の教科書。読み始めたのは3年生の冬からですが、当時は全然議論を追えていませんでした。何度も繰り返して読むうちに式変形やお気持ちが少しずつ見えてきたのは嬉しかった思い出があります。pdf版が特に使いやすいです。院試に即した箇所には若干余分だったり物足りないところもあるので、これと別に教科書1冊くらい持っておくのが良いと思います。

フーリエ変換:信号処理とフーリエ変換(朝倉書店)

 eeicの2Aの授業で開講される信号解析基礎に即した内容の教科書でした。他の教科書だと電力スペクトル密度や自己・相互相関関数あたりの議論が抜けてる教科書も多いです。この教科書は各種証明もしっかりまとめてくれているので、暗記帳としても使えて便利でした。全部読みましょう。

離散信号処理:ディジタル信号処理(オーム社)

 離散信号処理はeeicの信号処理工学の授業を履修していましたが、普通に難しくて泣いちゃったので、足りない知識の補完にオーム社の教科書を使いました。授業に比べると易しめの内容でしたが自分のレベルに合っていたので素晴らしい。基礎的な問題演習が充実。

情報理論:情報理論(オーム社)・情報理論の基礎(オーム社)

前者の教科書に必要な知識は全て詰まっていますがメチャクチャむずい。頭がパンクしてしまったので、易しめの入門書として後者から取り組みました。後者は例が分かりやすく、基本的な部分が身につきやすくて最高でした。当然、足りない範囲もあるのでそこは適宜eeicの2Aの情報通信理論の過去問等を参照して勉強するしかなさそうですね……具体的にはパリティ検査行列や巡回符号の範囲が基礎の方だと学びきれなかったと思います。

 

 専門科目の勉強は数学以上に情報収集が大事になってくると思います。内部生に知人がいない場合は、何としてでも研究室見学で内部から進学した学生に相談してプリントのデータ等を貰えるようお願いすることをオススメします。

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